所定の要件を満たせば、通常より早期に審査を受けることが可能です。
審査請求された出願に対する審査は、審査請求がなされてすぐにされるわけではなく、方式審査や分類付与等の事前業務がなされた後に行われます。この事前業務は審査請求がなされた順番に行われるため、審査される時期もその順番待ちということになりますが、既に実施しているようなとりわけ重要な発明をより早期に審査してもらうために、出願人自身ができる手続として①早期審査、②スーパー早期審査があります。

1.早期審査・早期審理をするメリット
通常の審査・審理に比べて、審査結果・審理結果を早く得ることができます。
早期審査を申請した出願の平均審査順番待ち期間は、早期審査の申請から平均3か月以下となっており(2017年実績)、通常の出願と比べて大幅に短縮されています。
また、早期審理を申請した場合には、申請後、審理可能となってから平均4か月以下で審決を発送しています(2017年実績)。

2.早期審査の対象になる出願
(1)実施関連出願:出願人自身又はその出願に係る発明のライセンスを受けた者がその発明を実施している特許出願
(2)外国関連出願:出願人がその発明について日本国特許庁以外の特許庁に出願している特許出願
(3)中小企業、個人、大学、公的研究機関等の出願
(4)グリーン関連出願:グリーン発明(省エネ、CO2削減等の効果を有する発明)について特許を受けようとする特許出願
(5)震災復興支援関連出願:災害救助法の適用される地域(東京都を除く。)に住所又は居所を有する者であって、地震に起因した被害を受けた者による特許出願
(6)アジア拠点化推進法関連出願:出願人の全部又は一部が、アジア拠点化推進法に基づき認定された研究開発事業計画に従って研究開発事業を行うために特定多国籍企業が設立した国内関係会社であって、当該研究開発事業の成果に係る発明に関する特許出願

3.早期審査・早期審理を申請できる者
・早期審査については、出願人、または、その代理人
・早期審理については、審判請求人、または、その代理人

4.早期審査・早期審理に必要な手続
(1) 早期審査の申請をするには、「早期審査に関する事情説明書」、早期審理には「早期審理に関する事情説明書」の提出が必要です。事情説明書には、書誌事項のほか、早期審査または早期審理を申請する事情、先行技術文献の開示及び対比説明などを記載する必要があります(一部、例外があります。詳細については、早期審査・早期審理ガイドラインを御覧ください。)
※早期審査・早期審理ガイドライン
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/document/index/guideline.pdf

(2) 特許庁に対する手続は無料です(通常の審査請求料等はかかります。)。

5.スーパー早期審査について
スーパー早期審査とは、早期審査よりも更に早期に審査を行う制度として、平成20年10月1日に特許庁が試行を開始したものです。スーパー早期審査の対象となるためには、「実施関連出願」かつ「外国関連出願」、又はベンチャー企業による出願であって「実施関連出願」であることが必要です。スーパー早期審査の申請前4週間以降のすべての手続は、オンラインで行わなければなりません。
スーパー早期審査の対象となる場合、現行の早期審査と比較して、より早期に審査段階での最終結果を得ることができます。
詳細については下記URLをご参照ください。
※スーパー早期審査の手続きについて
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/document/index/supersoukisinsa.pdf